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密室キングダム 柄刀一 [推理小説 ミステリ]

密室キングダムの名に恥じない密室殺人にこだわった本作。
そしてなんと言っても、一冊で1231ページのインパクト!
通常、分厚いと思われる本でも600ページぐらいなのに、その倍の厚さ。
シリーズ物や分冊されてある本だと、最終的にはそりゃ負けるけど、一冊でこの分厚さは、はっきり言って読みにくい。
私は寝転びながら読むので、腕がだるくなることもしばしば^^;
しかしその重さを苦にしながらも、それ以上に早く続きが読みたくなるだけの力がこの本にはある。

密室殺人事件が何個か登場するのだが、それぞれがまったく別個の意味あいを持っている。
通常の密室物では、最後に探偵役が解き明かして、犯人を見つけ出すのだが、これでは密室のトリック自体は、割合早い段階で、探偵役がどんどん解いていくので、あまり頭を悩ます必要はなかった。

しかし密室の物理的なトリックを解いた後に出てくるのが、心理的なトリック。
犯人は何故このような仕掛けを作り出しているのか。ワザと解きやすくしているときもあるし。
密室の物理的なトリックだけ見ていくと、それほどでもないのかもしれないのだが、それぞれに違った意味あいと、しかしそれぞれの密室の存在意義の連続性が上手く書かれている。
密室の謎を解けたからって、はい、犯人はあいつだとはいかない。

密室とタイトルについているけど密室自体もかなり良いのだが、それを内容の方に、非常に上手く絡めている辺りがこの本の魅力だと思われる。



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